ソニーミュージックグループが、自社が保有する楽曲や録音データ、その他情報を無断でAIモデルの学習に使用することを禁止すると発表しました。
これは、AIの学習に必要なデータの需要が高まる中、クリエイターの権利保護を目的とした措置です。
ソニーミュージックがAI学習で無断使用を禁止する理由
ソニーミュージックは、コロンビア・レコードやRCAレコードなどの人気レーベルを傘下に持ち、AC/DC、ダフト・パンク、ドージャ・キャットなど、幅広いアーティストの作品を保有しています。
近年、AIの学習に必要なデータの需要が高まる中、ソニーミュージックは自社が保有する音楽コンテンツの権利保護に乗り出しました。
ソニーミュージックはウェブサイト上で「宣言」を公開し、自社の音楽ライブラリをAIモデルの学習に使用することを一切禁じると明記しました。
公開された声明文には、「ソニーミュージックグループは、責任を持って制作されたAIがクリエイティブツールとして活用される可能性を歓迎しており、ソングライターやレコーディングアーティストが音楽制作において革新的なテクノロジーを活用していくことを支持します。テクノロジーの進化は、クリエイティブ産業の舵を何度も変えてきました。AIもまた、この流れを継続させるでしょう。しかしながら、その革新においては、ソングライターやレコーディングアーティストの著作権をはじめとする権利が尊重されなければなりません。」と記されています。
AI学習におけるデータの無断使用が問題視される
これまで、AIモデル開発者は、学習データとしてインターネット上から情報を収集することが一般的でした。しかし、著作権者が自らの知的財産が無断で学習に使用されることに対して法的措置を取るケースが増えていることから、このような慣習は厳しく見られるようになっています。
現在では、著作権者と開発者間でライセンス契約が締結されることが一般的となっており、OpenAIは先週、Redditとの提携を発表し、同プラットフォーム上の投稿をAIモデルの学習に活用することを明らかにしています。Googleも同様の契約を2月にRedditと締結しています。
ソニーミュージックのライセンス契約
ソニーミュージックは、自社の権利は「公開情報を通じて確認できる創作物や、データベースに随時掲載される創作物など、既存および将来のすべてのコンテンツ」に適用されると主張しています。
音楽は、ジェネレーティブAIと呼ばれる分野においては一分野ではありますが、モデル開発者やプラットフォーム制作者にとって関心が高まる領域でもあります。
つい先週、GoogleはAIを活用してミュージシャンがゼロから楽曲を作成できる「Music AI Sandbox」を発表しました。また、4月にローンチされたUdioは、テキストプロンプトからAIが自動作曲してくれるアプリです。
Music AI SandboxやUdioのようなプラットフォームは、ソニーミュージックグループをはじめとする音楽権利者からライセンスを取得した楽曲でなければ、AIモデルの学習に使用することができません。
まとめ
今回のソニーミュージックの声明は、自社の音楽ライブラリ保護に対する強い意志表示であり、ユニバーサルミュージックが昨年夏、Spotifyに対してAI生成楽曲数千曲を削除させた措置と同様の動きと言えます。
今後、AIの活用が広がるにつれ、クリエイターの権利保護がますます重要視されていくことが予想されます。
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