近年、AI技術の発展により、声優や俳優の声をAIを使って、あたかも本人が喋っているかのように広告を作る技術が注目を集めています。しかし、本人の許可なく声が使われてしまうという問題も起きていました。
今回、アメリカの声優組合SAG-AFTRAは、AIによる声優の声の利用について、新しいガイドラインを策定しました。
目次
ガイドラインの内容
- 利用には声優さんの同意が必要
- まず声優がAIによる自分の声の複製に同意する必要があります。
- さらに、その複製が実際にCMで使われる場合にも、改めて声優の同意が必要になります。
- 報酬:1本につき550ドル、カスタマイズには追加275ドル
- AIで作られたCM1本につき、声優さんには550ドルの報酬が支払われます。
- さらに、CMの内容に合わせて声をカスタマイズする場合には、追加で275ドルが支払われます。
- 利用期間:一定期間内であれば何回でも
- AIで生成された声の使い方は、1回だけではなく、一定期間内であれば何回でも使うことができます。
- 利用料は、4週間で385ドル、1年間で1,210ドルと設定されています。
- 適用対象:デジタルオーディオ広告のみ
- ただし、このガイドラインはラジオCMのような通常の音声広告ではなく、ストリーミングサービスやポッドキャスト向けのボイスオーバーなど、デジタルオーディオ広告でのみ適用されます。
- セキュリティ対策:第三者の無断使用を防ぐ
- さらに、AIで生成された声を安全に管理することも求められています。
- 第三者が勝手に使えないように、セキュリティ対策を講じる必要があります。
- 拒否権:声優さんはいつでも拒否できる
- 声優は、いつでも自分の声が使われるのを拒否する権利も持っています。
- 削除:利用期間終了後は全て削除
- また、契約で別段の定めがない限り、利用期間が終了すれば、声優の声の複製は全て削除されなければなりません。
まとめ
近年、AIによる声優さんの声の無断使用が問題になっていました。有名な女優のスカーレット・ヨハンソンさんの声に似せたAIボイスが、本人の許可なく使われていたことも話題になりました。
今回のSAG-AFTRAのガイドラインは、こうした問題を防ぐためのものです。声優が適正な対価を受け取り、自分の声がどのように使われるのかを理解した上で、AI技術を活用してもらうことを目指しています。
SAG-AFTRAは以前にも、AIスタートアップのレプリカ社と提携し、声優さんが自分の声をデジタル化してライセンスできるようにする契約を結んでいます。
AI技術の発展に伴い、倫理的な問題にも向き合う必要が出てきています。SAG-AFTRAの今回の取り組みは、AIとエンターテインメント業界の健全な発展を考える上で参考になる事例と言えるでしょう。
引用元:https://aibusiness.com/verticals/sag-aftra-mandates-consent-pay-for-ai-use-of-actor-voices-in-ads
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