アップルは、5月2日の決算発表で、四半期売上高が前年比4%減の9,080億ドルとなり、iPhoneの販売台数も10%減と苦戦していることを報告しました。
しかし、ライバル企業が相次いで発表しているジェネレーティブAI(生成型AI)への注力が、業績回復のカギになるかもしれません。
ティム・クックCEOが語る、アップルのAI戦略
ティム・クックCEOは、決算説明会で「ジェネレーティブAIに多額の投資を行う予定であり、この分野での機会に非常に強気だ」と述べました。
アップルは「シームレスなハードウェア、ソフトウェア、サービスの統合、業界最先端のニューラルエンジンを搭載したAppleシリコン、揺るぎないプライバシー重視」という他社とは異なる強みを持ち、AIソリューションを差別化できると語っています。
WWDCでジェネレーティブAIの新機能発表か?
アナリストたちは、6月のWWDC(世界開発者会議)で、アップルから「ジェネレーティブAIに関する重要な発表」が期待できると予測しています。
「新しいニューラルエンジン搭載チップとiOS 18の新機能により、開発者は2024年第3四半期末に発売される次世代iPhone 16シリーズ向けの差別化された新しい消費者体験を生み出すことができるようになるでしょう」と、Forresterアナリストのトーマス・ハソン氏は述べています。
静かに進めてきたAI開発、成果はPC分野で
これまでアップルは、AI開発に関して他の大手テック企業とは異なり静かに取り組んできました。過去1年間、同社が「Apple GPT」と呼ばれる独自のウェブアプリケーションベースのチャットボットサービスを開発しているというニュースなど、断片的な情報が出てきていました。
また、2月には、10年間続けてきた電気自動車プロジェクト「Titan」を中止し、ジェネレーティブAIへの注力を強めることも発表しています。
AI分野でアップルが成果を上げているのはPC分野です。最近の調査では、クリエイティブアプリケーション向けのAI搭載PC市場でアップルがリーダーに選ばれました。クックCEOは、決算説明会で自社のMacBook Airを「AI向けの最高のコンシューマー向けラップトップ」だと述べています。
オープンソースへの参入も加速
アップルは先週、チャットボットなどのアプリケーションを強化できる小型言語モデル「OpenELM」をオープンソースとして初めて公開しました。OpenELM以前には、マルチモーダルモデル「MM1」に関する論文と、Appleシリコンプロセッサアーキテクチャ上でモデルを実行するための開発者ツール群「MLX」しか公開されていませんでした。
まとめ
「アップルはこれまでAIの過剰なブームに乗らないようにしてきましたが、他社が続々と参入している現状では、その方針も変わってくるでしょう。今後、AIやジェネレーティブAIについてもっと多くの話を聞くことができるかもしれません」と、Forrester社のバイスプレジデント兼プリンシパルアナリストであるディパンジャン・チャタジー氏は述べています。
低迷するiPhone事業を補う起爆剤になることができるのか、アップルのジェネレーティブAI戦略に注目が集まります。
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