中国は、AI開発の安全性と国際協力を重視した「上海宣言」を発表し、世界規模でのAI協力を推し進めています。この宣言は、上海で開催された世界人工知能会議 (WAIC) の開会式で発表されました。AIのオープンな開発と国際協力を促進する5つの項目が盛り込まれています。
中国、AI開発の安全性と国際協力を重視
具体的には、医療、交通、農業など様々な産業におけるAI研究開発の積極的な推進、AIの安全確保 (世論操作や偽情報の生成への利用防止)、AI技術の「開放性と共有利益の精神」に基づく移転の協力、AIが雇用に与える影響の緩和などが盛り込まれています。
「私たちは、政府、科学技術コミュニティ、産業、そして関係者全員が積極的にこの宣言に賛同し、人類の利益のためにAIを促進させていく協力を期待しています」と、上海市党委書記の陳吉寧氏は述べています。
また、開会式では中国の李強氏は、中国はAIの安全とガバナンスを重視していると述べ、宣言の発表とともに、他の国々と協力して、AIを世界の発展に役立てる意向を示しました。
産業におけるAI活用を支援:UNIDO AI卓越センターの設立
WAICの開会式では、国連工業開発機関 (UNIDO) による新たなAI卓越センター設立も発表されました。この「AIM グローバル」プログラムは、産業・製造分野における責任あるAI開発を促進し、発展途上国がAI技術と専門知識に公平にアクセスできることを目指しています。
「UNIDOは、AI for Industry and Manufacturing に関するグローバルアライアンスを通じて、工業化国、民間セクター、学界、そして発展途上国をつなぐ架け橋を提供します」と、UNIDO事務局長のゲルド・ミュラー氏は述べています。「中国は、産業化、デジタル化、そしてAI分野でリーダー的存在です。上海に設立される新しいAIM グローバル卓越センターを通じて、ベストプラクティスと技術移転を促進し、グローバルサウスの発展のためにAIの持つ可能性を最大限に活用できるように支援し、世界のデジタルデバイド解消に貢献していきます。」
この新しい卓越センターは、中国工業情報化部と上海市人民政府の支援を受けています。センターは、ミュラー氏とUNIDO代表団が式典後に訪れた上海人工智能研究院内に設置されます。
中国が主導するAI開発の今後
「上海宣言」は、AI開発における安全性と国際協力を重視する中国の姿勢を明確に示しています。今後は、中国が主導するAI開発が、透明性、倫理的配慮、そして発展途上国への支援を伴う形で進められることが期待されます。
各国間でのAI開発競争が激化する中で、中国が果たす役割が注目されています。「上海宣言」が世界のAI開発の指針となり、人類にとって望ましい未来を切り拓くための礎となるのか、今後の動向が注目されます。
コメント