人類の夢の一つである火星移住。実現に向けて様々な技術開発が進められていますが、NASA(アメリカ航空宇宙局)のある科学者が、火星での持続可能な生活を実現する上でAI、ロボット、3Dプリンタが極めて重要になると語りました。
ロンドンで開催されたAIサミットで講演を行った、NASAゴダード宇宙飛行センターの技術・研究投資副責任者、クリスティル・ジョンソン氏は、2100年までに「他の惑星上に都市を建設する」というビジョンを掲げています。その実現のためには、酸素、水、エネルギーを大量生産する技術だけでなく、それらのシステムを最適化するためのAI活用が欠かせないと強調しました。
3Dプリンタで居住施設を建設
火星は人類にとって過酷な環境ですが、NASAは今後10年ほどで有人火星探査を実現させ、さらには永住可能な居住地の建設も目指しています。しかし、その道のりは決して容易ではありません。
岩だらけの地形を走行できる探査車、低重力や極低温でも機能する機器など、様々な技術的課題を乗り越える必要があります。
ジョンソン氏は、将来的に火星で暮らすことになるであろう人類にとって、AI搭載のロボットが重要な役割を果たすと述べています。例えば、溶岩洞窟を探査し、飲料水へと精製可能な氷を発見するロボットなどが想定されます。
さらにジョンソン氏は、地球で使用されている従来の技術は火星には持ち込めないと指摘します。火星での持続可能な生活を実現するためには、革新的な新技術が必要とされるのです。
その一例として、3Dプリンタを活用した居住施設の建設が挙げられます。ロボットが材料を運搬し、3Dプリンタで建物を自動的に生成することができれば、火星でのインフラ整備も効率的に進められるでしょう。
太陽フレアーから身を守る
火星での生活には、太陽フレアーなどの危険も伴います。ジョンソン氏は、携行型の計測器で太陽フレアーの接近を検知するシステムや、AIと機械学習を活用し、コロナ質量放出(CME)を予測するシステムの開発にも言及しています。
型破りな発想の重要性
NASAはすでに、AIを様々な分野で活用しています。例えば、宇宙船の設計材料開発には生成系AIが、衛星データ解析にはIBMとの共同開発によるAIモデルが用いられています。
しかしジョンソン氏は、火星移住という目標を達成するためには、これまでとは異なる分野の専門家からの協力も必要としています。
水泳用競争水着の抵抗を軽減する水着の開発や、体内温度をモニタリングするスマートピルの開発にも携わってきたジョンソン氏は、型にはまらない発想を持つ人材が重要だと説きます。
まとめ
火星移住という壮大な夢の実現に向けて、NASAは着実に歩みを進めています。AI、ロボット、3Dプリンタといった革新的な技術が火星での暮らしを支える鍵となる日が来るかもしれません。
引用元:https://aibusiness.com/verticals/nasa-charts-ai-robotics-3d-printing-as-path-for-mars-sustainability
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